マティーニ(カクテル)の由来

カクテルの世界は多種多様で、そのなかでも「マティーニ」は特別な地位を占めています。シンプルながらも洗練されたその風味は、カクテル愛好家を魅了し続けています。しかし、その美味しさを引き立てるのは、ただレシピだけではありません。マティーニの背後には、時と場所を超えた物語が存在します。今回は、その歴史と魅力について掘り下げていきましょう。

マティーニの起源

マティーニの起源は一定ではなく、様々な説が存在します。そのなかでも最も広く認知されているのが、19世紀後半のアメリカ、カリフォルニア州のゴールドラッシュ時代にさかのぼるという説です。

ゴールドラッシュ時代の説

一説によれば、マティーニは元々「マルティネス」という名前で知られていました。その名前はカリフォルニア州マルティネス市から来ており、ここでは鉱夫たちがバーでこのカクテルを楽しんでいたと言われています。しかし、確固とした証拠が存在するわけではなく、この説は一つの可能性に過ぎません。

その他の起源説

その他の説には、ニューヨークのナップス・ホテルで最初に作られたとする説や、イギリス海軍の軍艦マーティンで誕生したとする説などがあります。どの説が正しいのかは確定していませんが、これら全てがマティーニの多面的な起源を物語っています。

マティーニの名前の由来

マティーニの名前の由来についても、いくつかの説が存在します。最も広く受け入れられている説は、イタリアのベルモットブランド、Martini & Rossiから来ているというものです。

Martini & Rossiの影響

ベルモットはマティーニの主要な成分であり、その名前がカクテル名に採用された可能性があります。また、このブランドのベルモットは当時広く流通しており、その名前が一般的になったために「マティーニ」と呼ばれるようになったとも言われています。

マティーニのレシピ

多くの説が存在するマティーニの起源と名前の由来とは対照的に、そのレシピは比較的シンプルです。基本的なマティーニのレシピは、ジンとベルモットを組み合わせ、オリーブまたはレモンのツイストで装飾します。

クラシックマティーニ

最も伝統的な形のマティーニは、「クラシックマティーニ」と呼ばれます。このレシピでは、ジンを6部とドライベルモットを1部混ぜたものを用います。そして、その上にオリーブを一つ浮かべます。このシンプルな組み合わせが、マティーニのクリアで洗練された風味を生み出します。

ドライマティーニ

一方、ジンの風味をより強調したい場合は、「ドライマティーニ」を選ぶことでしょう。このバージョンでは、ベルモットの量を少なくし、ジンの風味を前面に出します。ドライマティーニは、ベルモットがほとんど加えられず、ジンが主役のカクテルです。

まとめ

マティーニは、その洗練された見た目と独特の風味から、世界中のカクテル愛好家に愛されています。その由来は確定していませんが、それぞれの説はマティーニがいかに多彩で、そしてどのように世界中の人々に影響を与えてきたかを物語っています。そして何より、その美味しさは今も変わらず、マティーニはバーのメニューに欠かせない一杯として、私たちの心を捉え続けています。